IMRT/VMAT

この研究では、肺のSBRTにおいて、Monacoの「Force ED = 1.0」と「Fill = 1.0」の機能が治療計画に与える影響を調査しています。ターゲットの線量精度や正常組織への線量を維持しつつ、フラクション当たりのMUを低減させるため「Force ED = 1.0」が肺のSBRT治療計画において合理的であると結論付けられています。

日本で初めて汎用リニアックを用いたVMATによる全身照射（TBI）の臨床経験が報告されました。Monacoを使用して上半身に3つ、下半身に2つ、合計5つのアイソセンターでプランを作成し、Versa HDを用いて治療が実施されました。MonacoのBias dose plan機能により、上半身と下半身の接合部の線量が均一になるようにプランニングされています。VMAT-TBIは、患者の負担が少なく、より正確な治療法であり、TBIの新たな治療法として有用であると述べられています。

本研究はCアーム型 エレクタリニアックのonline adaptive radiotherapy (oART)ワークフローを開発し、実際に3名の患者に対してoARTを適応した報告です。著者らはTPSワークフロー部分をMonaco scriptにより自動化し、ユーザーの操作は患者選択、輪郭の編集、プラン承認にのみ絞ることで、効率性と安全性を両立しています。構築したoARTワークフローにおけるCBCT撮影開始からビームオン終了までの平均処理時間は24分でした。

この研究では肝臓がんのSBRTにおいて、正常組織への放射線量を最小限に抑えるための新しいアプローチを提供しています。VersaHDを用いたVMAT照射でisland blocking (IB) 領域と parked gap (PG)領域の和が最小化となるよう、ガントリ角度ごとにコリメータ角度を最適化するアルゴリズムを開発しています。このアルゴリズムを用いて作成されたプランはターゲットのカバー率を維持しつつも、OARへの線量を低減させることが可能であり、正常肝組織の温存率はターゲット間距離と正の相関があることを報告しています。

この論文では、海馬回避した全脳放射線治療におけるAgilityとMonacoを使用した計画及び検証をしています。この照射ではJawを固定した状態で計画したfVMATと従来のJawを固定せずに作成したVMATにて計画をしており、fVMATでは計画の複雑性がないプランとなったと報告しています。どちらの計画も線量制約については問題なかったと述べられています。

脳転移に対してシングルアイソセンタ、FFFビームを用いたコプラナー照射VMATでSRSおよびfSRSを計画した際の有効性と精度について報告しています。単一あるいは多発脳転移の患者70人を対象に治療後のCBCTで測定された誤差を含む計画を用いてMonacoで再計算しています。結果、治療時間の短縮と位置誤差の縮小が見込めました。また、PTVのカバー率の差は、重心のずれと相関しており、局所制御率が高いことがわかりました。著者は、自施設においてこれらの所見がPTVマージンの縮小を正当化するものであると結論づけています。

本論文では、乳房温存術後の左乳癌に対するIMRT計画において、Monaco 5.11における最小セグメント幅（MSW）の影響を調査しています。乳房温存術後の左側早期乳癌の10例を対象に、MSWを0.5、1、1.5、2 cmの4つのパターンで各患者に対して4つの5フィールドIMRT計画を作成し、PTVおよびOARの線量と線量検証結果(γパス率)を比較しました。その結果、1.5 cmのMSWは、PTVの均一性をより良く確保し、OARへの線量をできるだけ少なくした上で、同時に照射効率と線量検証の精度も確保できることを報告しています。

婦人科がん患者に対するIMRTにおいて、伏臥位と仰臥位の姿勢の違いが及ぼす影響について調査しています。研究では60人の患者を対象にMonacoを用いて計算された小腸の平均線量や、DVHから解析される有害事象の発生確率、CTCAEから診断される副作用の評価等を比較しています。その結果、伏臥位は、小腸の照射体積および線量、急性放射線腸炎の発生率および重症度を低下させる可能性があるとしています。伏臥位は、年齢、体調などの要因により姿勢が悪化しやすく、治療中の不快感や姿勢誤差の増加などが懸念されるため、協力的な婦人科腫瘍患者のIMRTにおいて伏臥位の固定が検討されるべきと述べています。

MonacoでMLCのMinimum segment widthが直腸がんの計画の質に与える影響を比較した論文です。直腸がん患者30名でMinimum segment widthのみを0.5,1.0,1.5,2.0cmと変更したときのTargetとOARの線量,conformability index(CI),homogeneity index(HI),治療時間,MUを比較しています。Segment widthを大きくすることにより、治療時間とMUは顕著に変化したが、その他は統計的に有意ではなかった。つまり、治療成績を落とさずに、Minimum segment widthを大きくすることで放射線治療時間の短縮と臨床効率の向上が可能と述べられています。

この研究では肝臓がんのSABRについて研究をしています。計画CTから計算されたDRRとVMAT中の同じビーム角を持つkV-PSIで横隔膜の位置をリアルタイムで比較し、腫瘍に高い線量を送達しながら周囲の健康な組織への線量を最小限に抑えることができる可能性があります。この技術の精度と正確さを評価し、他の呼吸保持および自由呼吸のVMAT SABR技術との効果を比較するために、今後の研究が必要です。

Elekta Linacにて海馬温存の全脳照射におけるFFとFFFビームの評価検討をしています。18名の患者データを使用して検討をしています。二つのPlanはとても良く似ており、結果はFFFビームのPlanではD2%はFFFのほうが低く目への最大線量や海馬への平均線量は下がっていました。しかし平均総MUはFFFビームのPlanが高くなっています。

この論文では、ペースメーカー挿入の乳がん患者の放射線治療について報告をしています。。 ペースメーカーへの許容線量は2~5Gy、ICDへの0.5~2Gyとなっているため、照射はVMAT照射とし、ペースメーカーへの直接的な照射は避け、心臓と肺への線量は制御しています。CBCTを使用してポジショニング精度を向上し、Catalystによる照射中のモニタリングを合わせることにより、位置誤差を減らすことができたと述べています。結果としてTPSでのペースメーカーへの線量は296cGyとなりました。

この研究ではヘリカルトモセラピー（TomoTherapy）およびElekta リニアックによるVMATを使用した小児TBIの安全性と実現可能性および日常臨床におけるそれらの実装について調査しています。TomoTherapyグループとVMATグループの間で急性および亜急性有害事象に有意差はなく、両グループで2.3年（中央値）のfollow-up期間中に晩期障害は見られなかったことを報告しています。調査の結果から、著者らは両方のモダリティが安全的に実行可能であることを示しています。

Eclipse - HalcyonとPinnacle3 - Synergyの組み合わせで前立腺の寡分割VMATプランを作成し、プランの品質および線量分布と患者QAの結果から両者を比較しています。著者らは両方のリニアックでターゲットカバレッジ、直腸および膀胱の平均線量、患者QAの結果に有意差が見られなかったことを報告しています。一方でHalcyonと比較して、Synergyで照射するMUは有意に低くなったことを報告しています。

この研究では、セグメントフィールド形状を表す指標として、MU加重平均セグメント幅（ASWMU）を使用し、この指標とMLC位置誤差およびγパス率の有意な相関関係を報告しています。ASWMUが大きいプランおよび小さいプランにそれぞれ同じMLC位置誤差が生じた場合、γ パス率に与える影響は前者の方が小さいことを報告しています。またプランニングの際にMonaco上でMinimum segment widthを調整することでASWMUを大きくするができると述べています。

乳房切除後の左側乳房患者のVMATに対して、Monacoで利用可能な最適化モード“Pareto”と“Constrained”の線量測定量を比較した論文です。どちらの最適化モードでも同様の結果が得られましたが、Paretoモードでは高線量の減少、平均心臓線量の減少、および最大線量の減少といった利点が見られました。

本研究ではMonacoのXVMCと異なるTPSのアルゴリズム（Pinnacle3-CCCSおよびEclipse-AAA）の線量計算結果の違いについて報告しています。頭頚部もしくは肺に対してVMATで治療された18プランを対象に、CCCS、ＡAAを用いて線量計算されたプランをMonacoのXVMCで再計算し、PTVおよびOARの線量を比較しています。著者らは不均質ファントムによる実測の結果や類似研究を引用し、モンテカルロベースのMonacoのXVMCはより厳密な線量計算が可能であると述べています。

既存のMonte Carloコード(BEAMnrc/ DOSXYZnrc)を応用することで6MV Agility MLCのモデリングを実施し、その精度を調査した論文です。 作成したモデルによってリーフ透過線量、MLCによる不整形照射野の線量分布を計算し、電離箱とフィルムによる実測と比較した結果、両者は良い一致を示していることを報告しています。さらにIMRTおよびVMATプランでは実測とγ pass rate(3%/3mm, dose threshold = 50%)でそれぞれ99.5%、99.1％で一致しています。著者らは作成したモデルがPatient-specific QAおよびコミッショニングに利用できると述べています。

多発性脳転移に対する、VersaHDを使用したシングルアイソセンターVMAT（SI-VMAT）とCyberKnifeを比較した論文です。SI-VMATは線量パラメータにおいてCyberKnifeに劣りましたが、臨床的に許容できる計画を達成しました。治療時間が大幅に短縮され可用性が高いため、正常脳への影響やPTVマージンを考慮することでSRS専用システムの代替手段となる可能性を示しています。

マルチターゲットVMAT-SRS脳転移症例における回転誤差の影響を評価した論文です。シングルアイソセンターのマルチターゲットは回転誤差に敏感です。病変からアイソセンターまでの距離を約4cmに制限すると、ターゲットの過小投与は軽減できます。

体内マーカーを使用し、反復息止めVMATを肝細胞癌肺転移症例に適用した報告です。VMATのビームオンタイムは通常1分を超えるため、著者らはSingle arc VMATを複数のarcに分けることで、複数回の息止め下による照射を試みています。また各arcにおけるガントリースタート位置でのDRR画像を作成し、マーカー位置の許容範囲を示す頭側/足側にラインを作成しています。照射する際はXVIを使用し、マーカー位置を透視しながら息止め下で照射します。照射中、作成した透視画像のラインを参照しながら許容範囲内にマーカーがあるかどうかチェックすることで、息止め状態を継続的にモニタリングしながら照射しています。

4D超音波装置Clarityを用いて、VMATとIMRTの前立腺治療におけるintra fraction motion評価し、治療時間依存のマージンを算出した論文です。 治療時間の短いVMATがマージンの設定において優れた結果でした。どちらの治療においても、mean intra fraction motionにおいてInferior方向とposterior方向で統計的に優位な差が見られました。

VMATベースの頭蓋脊髄照射のフィールド接合部分における、位置精度の感度について検討した論文になります。フィールドを意図的に5mmシフトさせて、接合部の線量均一性の観点から、3DCRTの場合と比較しています。ギャップもしくはオーバーラップが生じる方向に対するシフトに対して、過小線量と過剰線量のそれぞれで、VMATの方が位置ずれに対して影響が少ないことが示されています。

VMAT-TBIについての報告です。
センチネルやカタリストといった光学的ポジショニングシステムを用いて治療中および治療間の位置を確認し、XVIを用いて画像誘導を行っています。従来の方法に比べてdual arcを使用したVMATでは効率的な最適化が可能なためPTVの均一指標が高く、OARも保護しています。患者のポジショニング、IGRT、およびビームオンタイムを含む1回の平均所要時間は成人でおよそ1時間程度です。

本論文は、両側性乳がんに対して、IMRT及びVMATの治療計画を立案し、3DCRTを用いた従来の治療計画と線量分布や治療効率に関して統計的に比較しております。線量分布はPTVの平均線量、V95%,V105%,Conformity Index, Homogeneity Indexの値、OARの平均線量、最大線量、VXGyの値を比較しています。治療効率はセットアップを含む治療時間を比較しております。最も優れた線量分布を作成できたのはIMRTで、最も優れた治療効率を示したのはVMATであることが報告されています。

Monacoを含む3つのTPSで作成したVMATプランの複雑性を複数の指標で評価し、Patient QAとの関連性やTPSの特長を考察しています。Patient QAの結果、それぞれのTPSで作成されたVMATプランは良好な結果を示したことから、Patient QAの結果と関連するプランの複雑性を示す指標は見つけられなかったと報告しています。またそれぞれの指標は評価する対象(MLCの動き、セグメントの面積、MUなど)が異なるために、同一プランであっても必ずしも一致しなかったことから、異なるTPSで作成されたプラン同士を比較する臨床試験などの際には慎重に評価する必要があると結論付けています。

VMATベースの頭蓋脊髄照射におけるMLCモデルとビームの選択の影響を評価しています。検討で考慮されたMLCモデルはMLCi2とAgility,ビームは6MVのFFとFFFでありそれぞれの組み合わせでプランの質とMUが検討されています。いずれの組み合わせでもほぼ同等のプランが作成できる一方で、MU値はFFFビームを使ったものが最小という結果が報告されています。

Synergyを使ってVMATの悪性胸膜中皮腫に対する有用性を調査しているパイロットスタディです。5人のCT画像を用いてIMRTとVMATの線量分布やCI,HI、多次元検出器を用いたγパス率等の比較分析を行っています。VMATはPTVカバレッジを損なうことなく、OARの線量を低減でき、同時に最短治療時間を提供するため、悪性胸膜中皮腫に対する有望な治療の選択肢であると結論付けています。

右側乳がん患者の同時統合ブースト放射線療法において、３つの異なる照射方法; IMRT、VMAT、Tangential VMAT（tVMAT）の有意性が検討されています。それぞれをFFとFFFビームで作成し、プランの質、MU、治療時間を比較した結果が紹介されています。Target Coverageにおいて、VMAT-FFFが最も優れているが、tVMAT-FFFはほぼ同等の結果に加えてOARへの線量も有意に低いことが示されています。 FFFビームを使用することによりFFビームに比べてMUが高くなるが、実際の照射時間はVMATでは7%、tVMATでは32%短いという結果が出ています。照射中の患者の動きによるターゲットへの線量分布のシフトを回避するためにも、短時間で治療できるtVMATは望ましい照射方法であると報告しています。

arcTBIの手法を提案した論文です。
臨床的に許容できる品質を達成し、体厚が30 cmまでの患者に対して9 %以内の平坦度で線量が処方されることが実証されました。従来のTBIのように広い照射室やmoving bedのような特殊な装置を必要とせず、一般的な照射室と加速器で実現できるため便利な方法と言えます。

中リスク前立腺がん12症例の治療計画を、Monacoを用いて6、 10、 15MVで立案し比較評価した結果、IMRTおよびVMATであれば、線量分布、MUがほぼ同じであることを示しています。従来の類似論文に比べて、詳細な比較結果がまとめられており、リニアック新規導入時のエネルギー選択決定時に参考になると思われます。

治療中のコーンビームCT画像と治療中のリニアックパラメータを用いて体内線量分布計算を試みた最初の報告です。

4D CBCTの新しい再構成手法を提案しています。投影画像間の相互相関処理により各投影画像に対する呼吸位相を求める方法です。したがって、4D 計画CTで、横隔膜と腫瘍が同時撮像されない場合にも適用可能なアルゴリズムです。

複数転移性脳腫瘍に対する単一アイソセンターのMonaco VMATで立案し、線量検証を報告した論文です。ターゲット数が９と14のファントムが用いられています。

頭皮血管肉腫に対するMonaco VMATの有用性を報告した論文です。5門または9門step and shoot IMRTと VMATで治療計画した結果、9門IMRTとVMATは、ほぼ同じ線量分布を与えましたが、照射時間は9門IMRTが14分・VMATは3分でした。Monacoによる頭皮血管肉腫のVMATプランの優位性を確認しました。

肝細胞癌における門脈内腫瘍塞栓の治療計画結果を比較検討した大阪市立大学の論文で、VMATの有効性を示しています。

Step and shoot IMRTで低MU照射する時に、ビーム立ち上がりが線量に与える影響を検討した札幌医大の論文です。最初の照射セグメンントとふたつめ以降で、傾向が違うことを実験的に明らかにし、その理由を考察しています。

人工股関節を有する前立腺がん患者に対するVMATの治療計画手法を提案した自衛隊中央病院の論文です。

上顎癌VMATにおいて、ハーフアークとフルアークの計画をMonacoで立案し、線量分布と照射特性を比較した兵庫医科大学の論文です。ハーフアークは、フルアークと同等の線量分布をPTVに与えながら、注意臓器への平均線量を低減でき、さらにMUおよび照射時間も低減できることを示しています。

VMAT照射中の肺腫瘍輪郭をBeam’s eye view表示した４次元DRRを提案した論文です。ガントリ角ごとに呼吸位相を計算して対応する位相の肺腫瘍輪郭を用いてDRR表示しています。

ElektaのマルチリーフコリメータMLCiの強度変調可能な照射野幅が広いことを活用して、リンパ節を含む乳腺VMATが単一アークで計画可能なことを示した論文です。スプリットフィールドを用いない臨床的な利点を強調しています。

肺腫瘍のVMAT照射中のMVポータル画像を用いて4D CBCTを再構成した世界初の報告です。

リニアックコントローラがまだVMATに対応する前に、商用TPSで世界で最初にIMATの治療計画を立てて、線量検証を報告した東京大学の論文です。

乳房照射における懸念点である表面線量に着眼し、Monacoの計算結果と測定を比較した論文です。
Monacoでは接線照射、接線DMLC、接線VMAT、VMATの4つをFFとFFFを用いて作成し比較しています。表面線量計算の精度が高いことと、6MVのFFF、変調ビームを使うことにより、皮膚線量が軽減する結果が報告されています。

この論文では海馬温存全脳照射治療におけるMonacoとMLCi2を使用したIMRTについて述べています。この検証ではIMRTのPlanをRTOG0933に準拠し治療計画しました。10症例の計画において結果はγ解析にて2mm2%において93%を満たしていたと報告しています。またこの論文では海馬の線量を下げるにはMLCの設計が重要であると述べており、Elekta Linacはバックアップジョーといての役割を果たすキャリッジがIMRTのセグメントに追従するため漏れを減らすことができると述べています。